コンサルtoコンサル転職が人気の理由とは?
「コンサル経験を活かして、さらなる年収アップを目指したい!」
「コンサルの仕事は好きだけど、今の会社には不満がある…。」
こうした悩みや希望を持つコンサルタントの方々からよく相談を受けます。
ご本人が「事業会社に転職しようかな」と考えていても、詳しく話を聞いてみると、意外にも他のコンサルティングファームが転職先としてフィットしている場合が多いのです。
ここでは、コンサルタントが別のコンサルファームに移籍する転職を「コンサルtoコンサル転職」と呼びます。
実は、このコンサルtoコンサル転職には、コンサルタントのキャリアならではの多くの魅力的なメリットがあり、非常に人気の高い転職パターンの一つです。
本コラムでは、コンサルtoコンサル転職のメリット、パターン、そして注意点についてご紹介します。
なぜコンサルtoコンサル転職は人気なのか?
コンサルtoコンサル転職がポストコンサルに人気なのはなぜでしょうか?まず、その理由を探ってみましょう。
希望のオファーを勝ち取れる!
コンサル経験者として転職することで、転職の成功確率を高めることができます。
一般的に、現在の職種と同じ業界への転職が最も成功確率が高いと言えます。
業界と職種の組み合わせで転職を整理すると、以下の4つのパターンに分類できます。
1.同じ職種 × 同じ業界
2.同じ職種 × 異なる業界
3.異なる職種 × 同じ業界
4.異なる職種 × 異なる業界
この順に転職難易度は高くなります。
理由は、1が即戦力人材であり、4がポテンシャル人材と位置付けられるからです。
多くの企業は、採用後すぐに活躍できる即戦力人材を求めています。
ビジネスのグローバル化やIT化が進む中で、社内の人材プールだけでは対応できない問題が増えてきました。
そのため、社外の専門家を中途採用するケースが増え、即戦力人材のニーズが非常に高まっています。
さて、コンサルタント経験者がコンサル業界で転職する場合、1の「同じ職種 × 同じ業界」に該当します。
コンサルファームは、景気が良ければ未経験者も広く採用しますが、最も採用したいのは即戦力となるコンサル経験者です。
即戦力として高い評価を受けることで、年収やランク、働き方など、自身の望むオファー条件を勝ち取ることが容易になります。
コロナ禍でも好調な採用
コロナウイルスの感染拡大を受け、多くのコンサルファームでは即戦力採用にシフトしました。
コンサル未経験者の採用は難しくなる一方で、コンサル経験者への採用ニーズは以前よりも高まっています。
一部のファームは厳選採用に舵を切っていますが、特にマネージャー以上の層に関しては、多くのコンサルファームが積極的に採用を続けています。
また、インダストリーカットのチーム(特定業界に特化したコンサルチーム)は業界知識が豊富な方を求める傾向にあります。
一方、ソリューションカットのチーム(特定のソリューションに特化したコンサルチーム)は、コンサルワークの基礎基本ができている方を求めることが増えています。
このため、コンサル経験者であれば、ITコンサルからリスクコンサル、マーケコンサルから組織人事コンサルといった領域チェンジがしやすくなっています。
プロフェッショナルキャリアを歩むことができる
コンサルタントとしてキャリアを築くことは、プロフェッショナルとして専門的な職務経験を積むことを意味します。
事業会社では、個人のキャリアは人事異動などに左右されることが多く、「ジョブローテーション」としてさまざまな職種を経験することが一般的です。
しかし、コンサルファームに所属している限りは、常にコンサルティング業務を続けることができます。
これは事業会社との大きな違いです。
コンサルファームのパートナークラスになれば、大学の客員教授やMBAの講師などを兼任することもありますし、執筆や講演活動といった活躍の場を広げることも可能です。
一部のコンサルファームでは、ジュニアクラスから著作活動やセミナー講師の活動を認めているところもあります。
また、コンサルタントとしてのスキルを高め、人脈や資金、ネットワークを得ることで、フリーランスとして独立したり、自分でコンサルファームを立ち上げたりするキャリアパスも開けてきます。
コンサルtoコンサル転職の5つのパターン
コンサルtoコンサル転職には、代表的な5つのパターンがあります。
これらの転職で得られるリターンは一度の転職で同時に実現できることも多々あります。
例:ワークライフバランス向上×年収アップ転職など
①ワークライフバランス向上転職
「ワークライフバランス向上転職」は、業務内容や年収などの条件を変えずに、より良いワークライフバランスを提供するコンサルファームへの転職を指します。
コンサルタントの仕事は時としてハードワークになりがちです。
健康状態が悪化して続けられなくなるケースもあります。
また、近年では介護や育児など家庭の事情から、ワークライフバランスの良いファームに転職したいという方も増えています。
こうした方々は、コンサルティングスキルを活かして即戦力としてコンサルティングファームに転職し、ワークライフバランスを向上させることが可能です。
中には、コンサルティングのデリバリー(実際のコンサルティング業務)とプロジェクト案件の受注(営業活動)を明確に分けているファームもあります。
そのため、コンサルタントが無理なく働ける条件で案件を受注し、ワークライフバランスを保つことができます。
また、多額の採用コストをかけて獲得した優秀な社員がすぐに辞めてしまわないように、ワークライフバランスを整えるコンサルティングファームが増えています。
②年収アップ転職
「年収アップ転職」とは、役職や仕事内容はそのままで、年収の向上を実現するコンサルtoコンサル転職です。
コンサルファームは会社によって給与テーブルが異なるため、同じマネージャー職でも、A社よりB社の方が給与が高い、ということがあります。
主な要因として、プロジェクトの受注額や、それに伴うコンサルタントの単価(還元率)が影響します。
プロジェクトの受注額が競合他社より低くても、コンサルタントへの還元率が高ければ、社員の給与は高くなります。
これは会社の方針や給与制度によって大きく異なります。
また、一般的に外資系企業の方が日系企業よりも給与が高い傾向があります。
プロジェクトの受注額や社員への還元率が高いためです。
③ランクアップ転職
「ランクアップ転職」は、より高いポジションを目指すコンサルtoコンサル転職です。
例えば、A社でシニアコンサルタントだった方が、B社でマネージャーとして採用されるパターンです。
「特定のスキルを持つ人が必要だが、社内にいない」
「新しいチームの立ち上げを任せられる人物がほしい」
といった理由から、他社のコンサルタントを現職より高いポジションで採用する事例があります。
多くの場合、年収もアップして転職する方がほとんどです。
近年では、新設されたばかりのベンチャーファーム(コンサルのスタートアップ)にランクアップで入社する方も増えています。
大手コンサルファームの知見を活かし、新規事業開発や新チームの立ち上げ責任者として活躍するケースが目立ちます。
④領域チェンジ転職
「領域チェンジ転職」とは、担当するプロジェクトのテーマや専門分野を変更するコンサルtoコンサル転職のことです。
コンサルタントが扱うテーマはさまざまですが、プロジェクトの進行方法は似ていることが多いです。
そのため、コンサル経験者であれば、未経験のテーマのプロジェクトにも対応できると評価され、採用されるケースがあります。
例えば、製造業界専門のコンサルタントから通信業界専門のコンサルタントになるなどが該当します。
特に戦略コンサルなど、プール制のコンサルファームに在籍している方が、特定の分野(財務系や組織人事など)に特化して専門性を高めたいと考えて転職するケースがよくあります。
逆に、金融業界や通信業界に特化したコンサルタントが、さまざまな領域のコンサルテーマに関わりたいと考えて、戦略系コンサルやプール制のコンサルファームを目指すケースも多いです。
⑤スペシャリスト型転職
「スペシャリスト型転職」とは、「いわゆるコンサルタントの仕事」を続けるためのコンサルtoコンサル転職です。
多くのコンサルファームでは、マネージャーからパートナークラスになると案件受注の比重が高くなります。
プロジェクトの受注活動よりも、実行・マネジメントを好む方にとっては、「プロジェクトの受注責任を負わない」キャリアパスが準備されているファームに転身する道があります。
特にITコンサルファームでは、最新技術のスペシャリストとして「デリバリー中心」のキャリアパスが用意されているケースもあります。
さらに、専門のプロジェクト受注部隊がある企業や、グループ内の監査法人や金融機関、あるいは親会社から案件を受注できる企業など、案件受注の体制が整っているコンサルティングファームも存在します。
このように豊富な営業リソースを持つコンサルファームであれば、コンサルタントがデリバリーに集中して活躍し続けることが可能です。
コンサルtoコンサル転職で注意すべきポイント
ここでは、コンサルtoコンサル転職で注意すべき4つのポイントを解説します。
事業会社との年収差に注意!
コンサルから事業会社への転職も人気の選択肢となっていますが、特に注意したいのはコンサルファームと事業会社の年収差です。
コンサル業界の年収は一般的に高水準であるため、コンサルタントとして昇格すると、事業会社では得られない給与を得ることが可能です。
外資系戦略コンサルや総合コンサルのパートナークラスでは、4,000万~1億円程度の年収を受け取っている方もいます。
その水準には達しない場合でも、20代で1000万円、30代で2000万円近くの年収を得ている方も一定数います。
このため、事業会社に転職したいと思っても、現在の年収とのギャップが埋められず、不本意ながらコンサル業界に留まり続けるケースもあります。
本当に事業会社に転職したいのであれば、年収が上がりすぎないうちに転職を検討するのが無難と言えます。
もちろん、外資系事業会社など、コンサルタントの年収レンジと遜色ないオファーを出す企業もあるため、リサーチが重要です。
ファームの規模よりクライアントの規模
「大手コンサルファームに行った方が、ベンチャー系の新興コンサルファームより転職しやすいのでは?」という質問をよく受けます。
在籍企業のネームバリューを重視するファームもありますが、必ずしもそうとは限りません。
実は、コンサルtoコンサル転職で重要なのは「ファームの規模」より「クライアントの規模」であることが多いのです。
具体的に言うと、ファームの規模が大きくても、メインクライアントが中小企業の場合、大手企業をクライアントとするコンサルファームへの転職は難しくなります。
逆に、ファームの規模が小さくても、クライアントが大手企業である場合、「大手企業に対するコンサル経験あり」と見なされ、大手企業をクライアントとするコンサルファームへの転職がしやすくなります。
例えば、法人営業では、大手企業を対象とした営業と中小企業を対象とした営業は異なるスキルセットや経験が求められます。
コンサルファームでも同様で、大手企業を対象としたコンサルタントと中小企業を対象としたコンサルタントでは、その後のキャリアパスが変わってくるのです。
簡単に言えば、大手企業向けのコンサルタントは大手企業向けのコンサルファームに転職しやすく、中小企業向けのコンサルタントは中小企業向けのコンサルファームに転職しやすい、ということです。
では、どこからが大手企業向けコンサルで、どこからが中小企業向けなのかという境界線は判断が難しいところです。
会社法の定義では、大会社は「最終事業年度の貸借対照表の資本金が5億円以上、または、最終事業年度の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上」とされていますが、コンサルファームのクライアントという意味では、売上1000億円以上が大手企業の一つの目安となるでしょう。
シニアクラスになると職務が変わることを念頭に
「スペシャリスト型転職」の項目でも触れたように、コンサルファームではマネージャー以上になると、KPIにプロジェクトの売上が含まれるようになります。
パートナーやディレクターといったシニアクラスに昇格すると、案件を受注すること(=営業活動)が主な職務となることが多いです。
大手ファームでは、シニアマネージャークラスで年間1億円程度、パートナー・ディレクタークラスで年間5億円程度の売上KPIが課されることが一般的です(継続受注・新規受注を含む)。
営業活動が得意であれば問題ありませんが、アナリストやコンサルタントなどジュニアクラスの業務とは全く異なる性質の仕事になることを念頭に置く必要があります。
もし、自分のやりたい仕事が異なる場合は、スペシャリストとしてコンサルタントの職務を続けられるコンサルファームへ移籍するか、事業会社への転職を検討する必要が出てくるでしょう。
市況を味方につける。不況もチャンス!
一般に、好景気の時には良いオファーを得やすいため、市況を味方につけて転職活動を行うことは重要です。
しかし、不景気での転職活動が必ずしも悪いわけではありません。
不景気でも採用を続ける地力のあるファームを見つけることができるからです。
リーマンショックの際、多くの企業が採用をストップする中で、積極的に採用を行っていたコンサルファームもいくつかありました。
当時はまだ規模が小さいファームが多かったですが、不景気になったことで優秀なポストコンサルが転職市場に出てくるようになり、彼らを一気に採用したのです。
その結果、現在では日本のコンサル業界で大きな存在感を放つ会社も出てきており、当時転職していった人たちは幹部として活躍しています。
このように、ピンチはチャンスにもなり得るのです。
不景気でも採用を続けられるということは、企業体力があり、ビジネスモデルが優れている企業であるとも言えます。
また、コンサルファームにとってポストコンサル人材は即戦力であるため、不景気であっても採用のコアターゲットであることは変わりません。
まとめ
ここまで、コンサルtoコンサル転職の人気の秘密について解説してきました。
コンサルtoコンサル転職は、即戦力としての転職であり、プロフェッショナルとしてスキルや人脈を広げることができるチャンスです。
そのため、ワークライフバランスの改善、ランクアップ、年収アップなど、自分の望むオファーを実現するための強力な手段と言えるでしょう。
弊社は、このコンサルtoコンサル転職において多くの実績を積み重ねてきました。
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また、すぐに転職する必要はありません。コンサルファーム在籍中で、ネクストキャリアについて漠然と考えている方も、ぜひお気軽にご相談ください。