コンサルティングファームの分類法 - ハニカム・キャリア G-111D3FR1WS

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コンサルティングファームの分類法

人気職種の経営コンサルタントですが、多くの種類があり、区別がよく分からないと言う方も多いと思います。
実際問題、経営コンサルタントは対象とする領域や支援内容によって業務内容に大きな違いがあります。
自然、求められるスキルや選考での評価ポイントにも違いがあり、面接対策も変わってきますから、しっかりと区別を理解しておくことが大切です。

1 コンサルティングファームの分類について

経営コンサルタントはキャリアの自由度を広げてくれる職種として高い人気があります。 その一方で、ひとえに「経営コンサルタント」と言っても様々なタイプが存在し、それぞれの違いはなかなか理解しにくいと思います。 こちらの記事では、そんな経営コンサルタントの分類方法について紹介していきます。 ご自身の知識・経験を踏まえ、どんなコンサルティングがしたいのか、どんな経営コンサルタントが向いているのか、見極めるため役立てて頂ければと思います。

(随時加筆更新中。最終更新:2022/4/8)

 

1.1 戦略コンサルティング


 企業のかかえる経営課題のうち、最上流の意思決定に関する課題解決を専門とするコンサルティングです。具体的には「グループ戦略」「事業戦略」「成長戦略」「M&A戦略」などの大企業の最重要案件における意思決定に関するアドバイス・アイデア出し・シミュレーション・調査などを行います。取締役が取締役会に提出するための新規事業開発の提案の代行作成を行う、などということもあるようです。

 大企業のCXOクラスのディスカッションパートナーとして彼らが満足するレベルのアドバイスを行なう必要があるため、極めて高い素養と能力が求められます。また、何万人もの生活に影響を与えるような社会的インパクトの大きな事柄の決定に携わるため、大きなやりがいを感じられる一方、責任も大きく精神的プレッシャーも並の物ではありません。精神力も求められます。
 近年では色々なタイプのコンサルファームが存在しますが、本来、経営コンサルティングと言えばこの戦略コンサルティングを指していました。そういう意味では、コンサルファームの元祖と言えるでしょう。

 なお、近年では現場寄りの支援まで踏み込む戦略コンサルティングファームも増えてきており、戦略領域を専門とするファーム(いわゆるピュア戦略ファームと呼ばれることもあります)は数を減らしつつあります。

 

1.2 ITコンサルティング


 企業の抱える経営課題の内、IT関連の課題解決に特化したコンサルティングのことを指します。現代の企業はITの力なくして活動し得ないため、どういったITシステムを構築するか、そこにどれくらい投資を行うか、と言った点が大きな経営課題になります。また、これらの点について方針や計画が立てられたとしても、実際に社内のITインフラを改修したり更新したりするためには、多くのIT人材やITベンダーの確保と管理、緻密なスケジュール管理が必要となります(たとえば某メガバンクのシステム統合には約20年と35万人月がかかったと言われています)。これら一連の流れを支援・代行するのがITコンサルティングです。

 具体的なプロジェクトとしては、IT部門運営計画立案の支援、グループ内ITシステム・ネットワークのグランドデザイン代行、ITガバナンス態勢構築の支援、ITコスト削減計画の立案・実行の代行、開発フェーズにおけるPM/PMOの代行・指南などです。

 また、IT技術の進歩につれITコンサルのカバー範囲も変化と拡大を続けており、一昔前はERPパッケージの導入プロジェクトが大人気でしたが、近年では導入済みシステム(オンプレミス型システム)のクラウド化プロジェクトが増加しています。他にもデータアナリティクス体制の構築支援や工場向けのスマートファクトリー化支援などのプロジェクトも生まれ始めています。

 なお、DX(デジタル トランスフォーメーション)コンサルティングという単語がありますが、ITコンサルティングとの区別はまだ曖昧な状況です。言葉というものは時代と社会の社会に連れて意味が確立されていくのですが、2022年の現在では「デジタル」という単語は話者によりその具体的意味が相違していることが多く、したがってデジタルトランスフォーメーションという単語も意味がブレることが多いためです。現時点では「IT関連の最新技術全般」と理解しておくとよいでしょう。AIや機械学習、IoTなどの技術の総称、というイメージです。

1.3 人事コンサルティング

 人事に関する課題解決に特化したコンサルティングを行います。分かり易いのは優秀な人材をいかに確保するか?という採用戦略の支援ですが、実際には採用だけでなく、各種制度(報酬制度・等級制度・評価制度)の構築・改修の支援や、教育・研修に関するアドバイス、労務業務の効率化、人事業務全般のIT化など、幅広いカバー範囲を持っています。
会社組織とはとどのつまり人の集まりです。人をいかに集め、いかに活用していくか?は、企業の将来を左右するとも言える大きな課題です。少子高齢化による人口減少の傾向にある日本において、人事コンサルティングの重要度は飛躍的に高まりつつあります。

 

1.4 FAS系コンサルティング(財務・会計コンサルティング)

「M&A戦略」「投資戦略」「資金調達」など、財務・会計関連の課題解決に特化したコンサルティングです。たとえばM&Aにおける買収対象企業の価格算定や法的手続に関するアドバイスを行います。そこから一歩踏み込んで、事業拡大にあたりM&Aをどう活用するか?といったM&A戦略に関するアドバイスを行なうこともあります。さらに踏み込んで具体的な業務や組織の統合の支援(PMI)まで行なう会社もあります。 会計士・USCPAといった会計系の資格保持者が多く在籍しますが、事業会社の財務部門で活躍された方が入社することもあります。

 

1.5 事業再生系コンサルティング

経営環境の変化や事業状況の悪化などの危機にあるクライアントの現状を調査・分析し、企業や事業の再生を図るコンサルティングを行います。一般的なコンサルティングとは少し異なり、自身もその企業の一員として事業再生に向けて二人三脚でのコンサルティングが必要となるため、やり甲斐や存在価値は倍増するでしょう。 一方で、危機に瀕している企業再生には、高い分析力や危機管理能力、冷静な課題解決、論理的な思考が求められるため重大な責任を伴います。 また、再生が必要になるくらいなので、対象企業は資金繰りに窮していることが多く、まず財務面の支援が必要になることが多いため、このタイプのコンサルタントは財務知識を持っていることが望ましいです。それゆえ上述のFAS系コンサルティングが事業再生の案件を取り扱うこともあります。

 

1.6 監査法人系コンサルティング

監査法人というと、いわゆる会計監査、決算にお墨付きを与える組織を想像されると思いますが、実はコンサルティングも行っています。監査法人系コンサルティングでは、「事業リスク」「システムリスク」などの内部監査などを行い、「サイバーセキュリティー」「経営管理の強化」といった、言わば「守りのコンサルティング」を行います。  会計監査でチェックされるのは数字だけではありません。たとえば「販売企業からの保証が切れた社内ITシステムを使っていないこと」が条件になっていることがあります。不正対策やサイバー犯罪対策についても同じような規制があります。そのため、システムのバージョンアップや入れ替えを、監査法人が支援することがあるのです。さらに、近年では会計監査業務や仕分け業務をAIに行なわせるシステムの開発・販売もおこなっています。監査法人によるコンサルティングは実は成長が期待されている分野です。

 

1.7 シンクタンク系コンサルティング

 シンクタンクは元々、半民半官の立場に立つ組織で、社会的・経済的問題に対して調査・研究をし、政策提言を行う、という専門性の高い職種であり、コンサルティングファームとは異なる職業でした。  近年では、新しい事業としてコンサルティングを手がけるシンクタンクが増えて来ています。コンサルタントとしての具体的なサービス内容はIT系コンサルティングに近く、システム導入と絡めた業務プロセス改革などのプロジェクトが多いです。

 

1.8 医療系コンサルティング

 病院や介護施設・老健施設などの医療機関に対して、経営戦略や設備投資やIT系システム導入、M&A戦略などのコンサルティングを行います。病院といっても営利組織の側面を持っているため、運営者は常に売上増と経費削減を考えており、そこにコンサルタントのニーズが存在します。また、経営面だけでなく、医療機器の購入などの施設管理や人事採用戦略、電子カルテシステム導入など、様々な側面からの支援が存在します。

 

1.9 総合系コンサルティング

総合系コンサルティングファームとは、ざっくり言ってしまえば上記の各種コンサルティングを1社で包含しているような企業です。実際にも上記で触れてきた各コンサルティングファームの機能を全て備えていることが多く、戦略系・業務系・IT系、その他を含め、大変幅広い領域をカバーしています。あらゆる業界企業のあらゆる経営課題解決を担えるので「総合」系、というイメージです。  社内には「戦略系ユニット」「人事系ユニット」「IT系ユニット」など細かいチームが沢山存在し、それぞれのユニットのメンバーが持ち味を活かして、様々な課題解決を行っています。それぞれのユニットに数十~数百人のメンバーが所属しているため、全体として数千~一万人という従業員を抱えています。
総合系ファームは積極的に情報発信をしている点も特徴で、アクセンチュアはTVCMなども打っているため名前だけなら聞いたことがある、という方も多いでしょう。そういう意味では最も知名度の高いファーム群と言えますが、実際にはあまりに多くの機能を含んでいるため、事業内容を理解する上では他のタイプのコンサルティングを理解してからの方が良い、と言えます。



2 BIG4とは?

外資系コンサルティングファームへの転職を検討している方であれば、「BIG4」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。実際に受験される際も業界知識を身につけておくことは重要ですので、是非チェックしておいてください。 「BIG4」は、上記の「総合系コンサルティング」ファームの内、グローバルでもっとも大きな影響力を持つ4つの企業の総称です。いずれも元々は国外の会計事務所を出自としていますが、現代に至るまでに合併・買収を繰り返し業容を拡大した結果、会計事務所と言う性格は薄くなり、経営支援業と呼んだ方が適切です。また、日本においてはいずれも大規模監査法人をグループ内に収めており、それ以外にも多数の企業(メンバーファーム)が参加しているため、経営コンサルティングのみならず会計監査や税務・法務等までワンストップで対応出来ることが特徴です。

2.1 「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」

ロンドン発祥、現在ニューヨークに拠点を置くデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)。日本では1993年よりサービスを開始した、歴史のある企業です。グループで有する監査・税務・法務・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリーの総合力と国際力を活かして、提言と戦略立案から実行まで一貫して支援可能であることが強みのファームです。

2.2 「PwCコンサルティング合同会社」

ロンドンに拠点を置く総合コンサルティングファーム。PwCグローバルネットワークと連携しながら、経営戦略の策定から実行まで総合的なコンサルティングサービスを提供しています。日本オフィスも積極的に広報活動をおこなっており、BIG4の中でも特に目立つ存在と言えます。

2.3 「KPMGコンサルティング合同会社」

オランダに拠点を置く総合コンサルティングファーム。日本では2014年に法人化された、比較的新しい企業です。「アシュアランス」「税務」「ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス」の3分野を柱としたコンサルティングを行っています。他の三つと違いオランダ発祥のため、企業やサービスの性質が独特と言われます。

2.4 「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」

ロンドンに拠点を置く総合コンサルティングファーム。2017年・2020年に大き な組織変革を行いながら、日本での事業を展開している企業です。特定のセクターにフォーカスしてその課題解決に尽力する“セクター”チームと、ストラテジーやテクノロジーなどのコンピテンシーを軸にサービスを提供する“コンピテンシー” チームがあります。

3 まとめ

以上がコンサルティングファームの種類です。 「コンサルティング」と一括りに言っても、対象とする事業分野・支援の内容によって、実際に行うコンサルティングの手法や必要となる知識・能力も大きく変わることがお分かりいただけましたでしょうか?  その一方で、「テレワークと相性がよく、働く場所が限定されにくい」「高収入な副業を行ない易い」「キャリア設計の自由度を広げることが出来る」という点では、どのタイプのコンサルもある程度共通しています。自由な働き方を求めるのであれば一度、挑戦しておいて損はありません。 コンサルファームへの転職をお考えの方は、是非弊社にご相談ください。

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「コンサル経験を活かして、さらなる年収アップを目指したい!」

「コンサルの仕事は好きだけど、今の会社には不満がある…。」

こうした悩みや希望を持つコンサルタントの方々からよく相談を受けます。

ご本人が「事業会社に転職しようかな」と考えていても、詳しく話を聞いてみると、意外にも他のコンサルティングファームが転職先としてフィットしている場合が多いのです。

ここでは、コンサルタントが別のコンサルファームに移籍する転職を「コンサルtoコンサル転職」と呼びます。

実は、このコンサルtoコンサル転職には、コンサルタントのキャリアならではの多くの魅力的なメリットがあり、非常に人気の高い転職パターンの一つです。

本コラムでは、コンサルtoコンサル転職のメリット、パターン、そして注意点についてご紹介します。

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